やる気がでない「リラックスしすぎ」の落とし穴

やる気がでない「リラックスしすぎ」の落とし穴

コラムニスト

佐藤恵里| 価値観から生き方を整える総合診療医
内科医/バリューファクター・ファシリテーター/ディマティーニ・メソッド・ファシリテーター
 

 

“ゆるめるだけ”では前に進めない理由

「リラックス=正解」になっていませんか?

 

最近、「自律神経を整えるにはリラックスが大事」「ゆるめて副交感神経を活性化しよう」といった情報をよく目にします。
実際、現代社会ではストレス過多で交感神経(戦う・逃げる)が優位になりやすいため、「ゆるめる」「深呼吸する」「リラックスする」ことはとても重要です。

ただし、ここにはひとつの落とし穴があります。

それは、「リラックス=良い」「緊張=悪い」と思い込んでしまうこと。
この思い込みが強くなるほど、私たちはいつの間にか“フリーズモード”に近づいてしまうのです。

 

「副交感神経が優位=行動できる」わけではない

 

多くの人が誤解しているのが、「副交感神経を優位にすれば、心が穏やかになり、行動もうまくいく」という考え方です。

しかし、実際には「副交感神経が優位すぎる」状態は、
・行動力の低下
・やる気の減退
・挑戦への恐れ
などを引き起こしやすく、ポリヴェーガル理論でいう“背側迷走神経モード”=フリーズに近い状態に入ることがあります。

つまり、「リラックス」に偏りすぎると、かえって“現状維持モード”に入り、
「変わりたいのに動けない」状態を助長してしまうのです。

 

“フリーズ”に近づいているサイン

 

あなたは、次のようなサインを感じていませんか?

  • 「そこそこ幸せだし、このままでいいや」と感じ、成長欲求が低下する

  • 「失敗したらどうしよう」と変化や挑戦を避ける

  • 「不安や罪悪感を感じたくない」と思ううちに、なぜか小さな困りごとに追われて1日が終わる

これらはすべて、“安心を保とうとしすぎて、行動を止めているサイン”です。

 

「自律神経が調う」とは、バランスよく切り替えられる状態

 



本来の「自律神経が調った状態」とは、
副交感神経と交感神経の切り替えがスムーズに行われている状態を指します。

・リラックスするときにはしっかりゆるめる
・行動するときには適度に交感神経を働かせる

この“切り替えの柔軟さ”こそが、心身の健康と行動力を支える鍵です。
大切なのは、どちらかを抑え込むことではなく、どちらも必要な時に使いこなせることなのです。

 

  医師としての私自身の体験から

 

学生時代の私は、受験勉強も実習も、とても楽しく、やりがいを感じていました。
しかし、いつしか「動けなくなっている自分」に気づきました。

知らず知らずのうちに、周囲の期待や責任を過剰に背負い、
緊張状態が続いたまま“燃え尽きていた”のです。

その後、心理学や脳科学、行動学、自己啓発を学ぶ中で、
「自分をリラックスさせ、落ち着いて過ごす方法」は身につけました。

けれど、リラックスの中で芽生えた意欲から、“学んだことを人に伝えよう”と行動しようとすると、
身体が止まってしまう──そんな時期が続きました。

 

「安心」の中で小さく行動する

 

転機になったのは、「安心の場で小さく動く」ことでした。

まず、ご飯を食べながら仲間と学びをシェアする。
これが、私にとって最初の“小さな一歩”でした。

安心する、自分にとって当たり前にしている環境の中で、気心の知れた仲間と過ごす。

そんな時間を過ごしているうちに、それを投稿したり、交流の輪が広がったりすることにも、

抵抗がなくなっていきました。

すると、自然に
「ファシリテーターをお願いしたい」
「もっと話を聞きたい」
と声をかけていただくようになったのです。

また、以前は億劫に感じていた医師としての業務についても、
「この仕事は、自分が人の生きがいを支えるためにどうつながるだろう?」と問いかけるようになりました。

その瞬間には答えが出なくとも、問いを繰り返していくことで、

仕事への意欲が上がり、責任ある役割も前向きに引き受けられるようになりました。

次第に、安心をベースにしながら、程よい緊張とやりがいを感じて行動できるようになっていったのです。

 

「安心のあとに、一歩」

 

 

この体験を通じて痛感したのは、
“安心したら、そこから小さく動く”という順番こそが、神経を調える鍵だということです。

リラックスだけではエネルギーが滞り、

緊張だけでは心身がすり減る。

大切なのは、「安心(副交感)」と「緊張(交感)」のリズムをつくること。

そのリズムを取り戻すことで、

私たちは再び「動ける身体」と「創造的な心」を取り戻すことができるのです。

◆身体の動かし方も「使い分け」が大切

ヨガや瞑想のような“ゆるめる身体活動”と、
散歩・ジョギングなどの“引き締める身体活動”をバランスよく組み合わせてみましょう。

  • ヨガ・呼吸法・入浴 → 副交感神経を活性化(リセット)

  • 散歩・筋トレ・ジョギング → 交感神経を刺激(スイッチオン)

このように“リズム”で神経を使い分けることで、
感情の波にも、季節の変化にも強い身体がつくられていきます。

 

まとめ:調うとは、“止まること”ではなく“動けること”

 

「整える」「調える」という言葉は、
静けさや止まることをイメージしがちですが、
本来の“調う”とは、流れを生み出すことです。

自律神経を調えるとは、「心が穏やかであること」と同時に、
「必要なときに動ける柔軟さを持つこと」。

“安心と緊張”というふたつの波を、自分のペースで行き来できるとき、
私たちはようやく「調った」状態にいるのです。

 

LIFE MANDALAでは、

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コラムニスト

佐藤恵里| 価値観から生き方を整える総合診療医
内科医/バリューファクター・ファシリテーター/ディマティーニ・メソッド・ファシリテーター

内科医として、症状だけでなく心や生活背景まで含めて多角的に診る「総合診療」の経験を活かし、「なぜこんなに頑張っているのに、満たされないのか」と悩む方の本質に寄り添うセッションを提供。

自身も「好きで選んだ道なのに燃え尽きた」経験から人間行動学に出会い、ディマティーニ・メソッド/バリューファクター両ファシリテーター資格を取得。

価値観や使命を明確にする論理的思考と、共感力を併せ持ち、表面的な悩みだけでなく人生全体に向き合うセッションが定評。現在は「本当の自分の価値観」に気づき、自分らしく生きたいと願う方を対象に、医療・心理・行動科学を融合したサポートを行っている。

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