逃避行動とは?心理的な仕組みと現実逃避から抜け出す5つの方法

逃避行動とは?心理的な仕組みと現実逃避から抜け出す5つの方法

コラムニスト

コラムニストの松田真由さん画像

松田真由|心を整え、人生に意味を見出す専門家
自己理解カウンセラー/ディマティーニ・メソッド公認ファシリテーター

「ご飯を作る時間なのに、気づけばSNSを見ていた」

「課題の提出期限があるのに、なぜか急に掃除を始めてしまった」

そんな経験、きっとあなたにもあるのではないでしょうか。


 この記事では、アドラー心理学の考え方と私自身の体験をもとに、逃避行動の背後にある心の仕組みと、そこから抜け出すための具体的な5つの方法をわかりやすくお伝えします。

 



逃避行動と聞くと「怠けている」と思われがちですが、実はそこには行動心理に基づく意味や目的があります。

逃避行動とは、やるべきことに向き合う代わりに、別のことに意識を向けてしまう行動のことです。たとえば、仕事に手をつける前にSNSを開いたり、掃除の途中で動画を見始めたり…。そんなふうに「今すぐやる必要があること」から、つい目をそらしてしまうことは誰しも経験があるでしょう。心理学では、この現象を「先延ばし行動」と呼びます。

アドラー心理学では、「人間の行動には目的がある」という考え方があります。

一見「怠けている」ように見える逃避行動も、実は「やりたくないことから離れたい」「不快な感情を避けたい」「今だけ楽になりたい」といった内的動機に基づいた目的のある行動なのです。

参考:アドラー心理学の基本理念や実生活への応用については、かんき出版の公式コラムでも詳しく解説されています。

👉 アドラー心理学とは?自分に勇気を与え、人生を自ら切り開く|かんき出版


先延ばしで自己嫌悪に陥った私の体験談|逃避行動の実例


逃避行動のしくみを理解していても、実際の生活の中でどのように表れるのか、ピンと来ない方もいるかもしれません。ここでは私自身の体験をご紹介します。

 


「少し休もう」が“心から休めない”現実

私には以前、「夕食後の片付けを後回しにしてテレビを見てしまう」という習慣がありました。仕事や家事を終えた後のひととき。「少し休もう」とリビングに座ってテレビを見る。でも、どこか頭の片隅には「片付けなきゃ」という思いがあって、心から休めていない自分がいました。

その結果、片付けはますます面倒に感じられ、お風呂に入るのも寝るのも遅くなる。そんな生活の乱れもありながら、「また今日も早く寝られなかった…」と自己嫌悪を感じることがよくありました。


なぜ人は逃げたくなるのか?逃避行動に隠れた3つの心理的目的

私のケースを振り返ってみると、そこには主に3つの目的がありました。


  1. 面倒なことから一時的に目を逸らしたい

  2. 今すぐホッとしたい、くつろぎたい

  3. 誰か(夫)が代わりにやってくれるかもという期待


こうした目的は無意識に選ばれていることが多く、本人も自覚していない場合がほとんどです。アドラー心理学では、この「目的」に気づくことが行動変容の鍵であり、逃避行動から抜け出すための第一歩になると考えます。

当時の私は、「ちょっと休憩するだけ」という軽い気持ちで、すぐに取りかかる勇気を持てずにいました。知らない間に「片付け」という面倒なことに立ち向かう勇気が足りなくなり、さらにストレスを抱え、負のループに陥っていたのです。

 

そんな私にとって転機となったのは、ある日、職場のスタッフが何気なく言ったひとことでした。 「私は片付けを先にしないと落ち着かないの」

その言葉を聞いて、「そんな人もいるんだ」と驚くと同時に、「羨ましいな…」と素直に思えたのです。 本当は「片付けを終えてからゆっくりしたい」と思っているのに、実際には「先にゆっくりするために片付けを後回しにする」という行動をとっていた。

今の自分がラクをすることで、未来の自分に大変な思いをさせていたのだとようやく気がつくことができたのです。


行動が変わると気持ちも変わる|日常に起きた変化

 

気づいてからしばらくして、テレビを見ている間にもずっと"やらなきゃ"とストレスを感じていることに気づきました。

そこで、私は思い切って、食べ終わったあとすぐに片付けるようにしてみました。それまではテレビの前に座りに行っていたものを、立ち上がると同時にキッチンに立つようにしたのです。最初は面倒に思いましたが、終えた後のスッキリ感、そして案外簡単に片付けることができたことに驚きました。

「やろうと思えば私もできるんだ…」

これまでできなかったことをやり遂げた達成感と、心が軽くなるような爽快さがありました。そのおかげで、子どもたちとの団らんの時間もゆったりと楽しむことができ、お風呂にもスムーズに入れて、自然と寝る時間も早まっていきました。

何より「早く片付けなきゃ…」と思い続けることもなく、「今日も早く寝られなかった…」と自己嫌悪に陥らなかったことが、一番大きな変化でした。

 

 

逃避行動をやめる5つの具体的ステップ

 

では実際に、逃避行動から抜け出すにはどうすればよいのでしょうか。私自身が実践して効果を感じた5つの方法をご紹介します。

 


1. 今している行動の「目的」に気づく

たとえば、SNSを見ている自分に気づいたとき、「これはどんな目的で見ているのだろう?」と問いかけてみてください。そして、「片付けは本当はやりたくない」という本音を素直に認めてみましょう。

実は、この「やりたくない」という気持ちを認めることが最初の一歩です。私も「片付けは好きではない」と認めた上で、「では、なぜやるのか?」を考えたとき、「家族のために自分ができることをしたい」という他者貢献の目的に気づきました。自分の本音を受け止めた上で目的を見つけ直すことで、行動が変わるきっかけになります。

 

2. 理想の未来を具体的に描く

「本当はどうしたい?」という問いをもとに、理想の状態をイメージしましょう。未来の目的が明確になると、行動の選択も変わってきます。

 

3. 小さな困難に立ち向かう勇気を育てる

 逃避行動の根底には「課題に向き合うことへの恐れ」「面倒なことを引き受ける勇気の欠如」があります。まずは小さな一歩から行動をしてみましょう。 

・片付けを終えてからテレビを楽しむ時間を作る

・掃除を15分した後で、ご褒美として動画を見る

など、自分のしっくりとくる方法を見つけることで、「自分でもできる」という自己効力感が育っていきます。

 

4. 「これを続けるとどうなるだろう」と未来を想像する

先延ばしの習慣をこのまま続けていくと、自分の生活や心はどうなっていくだろう?と想像してみましょう。アドラー心理学ではこれを「結末の予測」と言い、行動を見直す重要なきっかけになると考えます。「この選択は本当に望む未来につながるだろうか」と自分に問いかけることで、今すべき行動が明確になってきます。

 

5. "勇気づけ"の言葉を自分にかける

小さな行動の積み重ねは、やがて意識しなくても行動できる「習慣化」へと自然につながっていきます。

習慣化を成功させるためには、「完璧にやろう」とするのではなく、“無理なく、繰り返せる行動”を選ぶことが大切です。

たとえ小さな行動でも、「今日は休みたくて休んでると気づけた」「今日は頑張れたよね」と、自分自身を勇気づけながら続けることが、行動の継続と習慣の定着に結びつきます。

結果ではなく、“プロセス”に意識を向けることで、心の負担も軽くなり、自然と前に進む力が湧いてきます。

 

まとめ|逃避行動を手放し、理想の未来をつくる第一歩とは?

逃避行動は、弱さや怠け心のせいではなく、何かしらの目的をもって無意識に選ばれている行動です。その目的に気づかずにいると、望む未来から遠ざかってしまうこともあります。

理想の未来を思い描き、「その選択が、本当に望む未来につながっているか?」を問い直すことが大切です。

"今ここ"からできる小さな一歩を踏み出してみてください。その積み重ねが、きっとあなたの日常を少しずつ変えていきます。

 

逃げグセに悩む日々から抜け出したい方へ。

📩 自分を知り、逃げグセや感情のもつれを行動に変えていくヒントを、LINEでお届けしています。

「また同じことを繰り返したくない」と感じたら変わるチャンスです。

公式INE登録はこちら

コラムニスト

コラムニストの松田真由さん画像

松田真由|心を整え、人生に意味を見出す専門家
自己理解カウンセラー/ディマティーニ・メソッド公認ファシリテーター

幼い頃から相手の気持ちに敏感で、自分自身の感情や欲求がわからない—— そんなHSP気質ゆえの生きづらさを長年抱えてきました。自己理解と人間関係の葛藤に悩みながら「自分はなぜ生きているのか?」という問いを探求する中で、 ディマティーニ・メソッドと出会い、人生に確かな意味と手応えを感じられるように。 現在は心理カウンセラー/ディマティーニ・メソッドファシリテーターとして、自己理解を深めたい方や、 職場・家庭での人間関係に悩む方を対象に、問題の本質にアプローチしながら「自分らしく生きる力」を引き出すサポートを行っています。 心の仕組みを丁寧にひも解きながら、変化を恐れずに前進したい方に寄り添います。

公式ウェブサイト:

https://counseling-room-mayu.com/

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。