コラムニスト
佐藤恵里| 価値観から生き方を整える総合診療医
内科医/バリューファクター・ファシリテーター/ディマティーニ・メソッド・ファシリテーター
「やりたいことがあるのに、なぜか動けない」あなたへ
夏休みに仕事や学びを進めようと思っていたのに、気づけば何も手をつけられずに終わってしまう。
学んだことを実践したいのに、毎日が変わらず過ぎていく。
「やろう」と決めたことを、また今日も先延ばしにしてしまった――。
このLIFE MANDALAコラムでは、「自分らしく生きるヒント」をたくさんお伝えしてきましたが、
「読むことはできても、実践ができない」「変わりたいと思うほど動けなくなる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、それはあなたの意志が弱いからではありません。
実はそれ、自律神経のモードが“フリーズ”に入ってしまっているサインかもしれないのです。
「自律神経は3つある」って知っていましたか?
近年、神経科学の最前線では「ポリヴェーガル理論」という、自律神経の新しい理解が注目されています。
この理論によれば、私たちの神経システムには次の3つのモードがあります。
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腹側迷走神経(安心・共感・創造)
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交感神経(戦う・逃げる)
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背側迷走神経(フリーズ・遮断)
これまで「迷走神経=リラックスの神経(副交感神経)」と思われていましたが、実はその中には、活動的で人間らしいモード(腹側)と、 極限時の遮断モード(背側)という、まったく異なる2つの役割があるという理論が提唱されているのです。
「変わろう」とするほど、フリーズする?
この「背側迷走神経」は、最も古い=原始的な自律神経です。
動物にとって、最も危険なのは“捕食されること”。
動けば動くほど敵に見つかりやすくなり、 暴れるほど新鮮な餌だとみなされ、命を落とすリスクが高まります。
だからこそ、本能は「じっとして動かない」=フリーズすることを選ぶのです。
現代では命の危険は少ないにもかかわらず、感情的ストレスや強い緊張によってこのモードが簡単にONになります。
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緊張の場面で固まってしまう
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憧れの人の前で何も話せなくなる
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やるべきことを目の前にして無気力になる
こうした状態が続くと、脳は「変化=危険」と誤認し、動くこと自体をやめてしまうのです。
「変わろう」から「落ち着こう」へ

背側迷走神経が優位になっているとき、「変わろう」「動こう」と意識すればするほど、かえって脳はブレーキをかけます。
その結果、次のようなフリーズ状態が起こりやすくなります。
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心のフリーズ:思考停止・無気力・集中力の低下
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身体のフリーズ:慢性疲労・筋の過緊張・感覚の鈍化
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行動のフリーズ:やる気はあるのに、動けない・引きこもり
これは「自分のせい」ではありません。
あなたを守ろうとする脳と神経の“古い癖”が、いまも機能しているだけなのです。
神経のモードが、あなたの感情・行動・現実をつくる
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腹側迷走神経が優位なとき:感謝や愛に満ち、創造的で自然な行動が生まれる
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交感神経が優位なとき:焦りから短絡的になり、過活動・攻撃的・享楽的な言動が増える
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背側迷走神経が優位なとき:引きこもり・感情の麻痺・無力感が強くなる
“引き寄せ”や“現実創造”の力においても、もっとも影響を及ぼすのがこの自律神経の土台です。
だからこそ、「どう感じるか」より「どう調えるか」が大切なのです。
まずは「今ここは安全」と脳に伝えてあげよう
意志を振り絞るのではなく、安心できる小さな行動を通じて、脳と神経に「ここは安全だよ」と伝えましょう。
すると、自律神経は自然に腹側迷走神経モードへと切り替わっていきます。
今日からできる!腹側迷走神経をONにする2つの習慣

1. 目線ワーク(スタンレー・ローゼンバーグ式)
椅子に座る、あるいは仰向けに寝転んで、両手の指を組んで頭の後ろに当て、頭を軽く支える。顔を動かさず、目だけを右へ20〜60秒。
ため息やあくび、首や肩の力が抜ける感覚が出てきたら、神経が切り替わったサインです。
左も同じようにやってみましょう。
2. 神経を意識した呼吸
首の付け根(後頭部と首の境目)または骨盤の後ろ(仙骨)に両手を当て、背骨全体にエネルギーを通すようなイメージでゆったりと呼吸を続ける。


呼吸や目・喉・首・肩の動きは腹側迷走神経に深く関わっています。 この動きを取り戻していくことが、フリーズ解除の第一歩です。
まとめ:安心が調えば、あなたは自然に変われる
「変わりたいのに変われない」のは、あなたが悪いのではありません。
それは、自律神経という「見えない安全装置」が働いているだけ。
そしてその装置は、安心というスイッチで自然に切り替えることができるのです。
腹側迷走神経を調えるケアは、単なる癒しではありません。
それは、自分の人生を再び動かすための、科学的かつ現実的なスタート地点です。
LIFE MANDALAでは、これからもあなたの神経の土台から調え、
「本来のあなたが、自然に力を取り戻していく」プロセスをサポートしていきます。
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コラムニスト
佐藤恵里| 価値観から生き方を整える総合診療医
内科医/バリューファクター・ファシリテーター/ディマティーニ・メソッド・ファシリテーター
内科医として、症状だけでなく心や生活背景まで含めて多角的に診る「総合診療」の経験を活かし、「なぜこんなに頑張っているのに、満たされないのか」と悩む方の本質に寄り添うセッションを提供。
自身も「好きで選んだ道なのに燃え尽きた」経験から人間行動学に出会い、ディマティーニ・メソッド/バリューファクター両ファシリテーター資格を取得。
価値観や使命を明確にする論理的思考と、共感力を併せ持ち、表面的な悩みだけでなく人生全体に向き合うセッションが定評。現在は「本当の自分の価値観」に気づき、自分らしく生きたいと願う方を対象に、医療・心理・行動科学を融合したサポートを行っている。