人の役に立ちたい。そう信じて走り続けるほど、なぜか自分の中が空っぽになっていく——そんな感覚を抱えたことはありませんか。
まゆみさんは、約20年にわたり、看護師として人のいのちと向き合ってきた方です。夜勤とフルタイムをこなしながら、患者さんや同僚から「あなたがいてくれて助かる」と言われることに、自分の存在価値を見出してきました。
けれど「この人生は、看護師人生だけで終わっていいのだろうか」という問いが立ち上がった時、長く続けた看護師という仕事を卒業します。今は教育機関で保健師として、職員や学生の健康やこころに関わりながら、ご主人、高校生のお嬢さん(& ペットのうさぎさん)との暮らしを送っています。
何が変わったのか。どこを変えたのか。
今回は、まゆみさんの人生の秩序、LIFE MANDALA(ライフマンダラ)を見ていきます。

「役に立つ私」でしか、自分を感じられなかった
課題:他者の評価でしか、存在価値を確かめられない
患者さんや職場の人から必要とされ、感謝される。それは働くやりがいとしては、この上ないもので、ありがたい言葉でした。その言葉を受け取るたびに「私には存在している価値があるんだ」と感じられていた日々。けれどそれは、今だから気づけましたが、外から評価されなければ自分の価値を感じられない状態でもありました。
自分の体や心が出すサインは、いつも後回し。小さな娘を家族に預け、「一番必要な時に、そばにいない母親かもしれない」と感じながらも走り続ける。そうやって自分を抑え込みながら、「人のため」に自分を使い続けていました。
まゆみさんの気づき:承認を、外側に求めていた
無意識に「周りから評価されて自分に価値があると捉えていたので、仕事を辞めた時に自分の価値がわからなくなりました。」後にそう振り返ります。私の心は「人から評価される」という承認欲求で埋められていたんです。だから、当時人のために走ることで心の空白を埋めようとしていた——その構造に、まゆみさんは気づいていきました。
ソファの上で気づいた「無価値」という幻
課題:生産性がない=無価値、という思い込み
看護師を卒業し、時間が一気に増えた。好きな飲み物を片手に、ソファでくつろぐ——豊かなはずのその時間に、ふと違和感と不安が走ります。「私、何もしていないよね」「存在している価値が、なくなっちゃった人じゃないかな・・・?」。でも、後にこの不安がエンジンで自分が走り続けていたことに気づきました。
まゆみさんの決断:強制終了の手前で、立ち止まる
もしあのまま気づかずに、人から認められない不安を原動力に走り続けていたら——「エネルギーが空っぽなのに、さらに誰かのために走って、いつか大きな病気で倒れて初めて我に返ったかもしれない」。健康なうちに立ち止まれたこと、自分を振り返る時間を持てたこと、まゆみさんは「本当に幸運なこと」と語ります。
解決策:「何をするか」の前に、「どうあるか」
人のために何かをやれている充実感というや、生産性だけで自分を測るのをやめ、自分の心と体——人生の曼荼羅でいう「健康資産」——を自分の人生の中心に置き直す。所有や成果の前に、自分がどうありたいか(Be)から始める。そこから、生き方の優先順位が静かに組み変わっていきました。
娘の一言が、何年も刺さっていた
課題:「ママは患者さんの面倒は見るのに、私の面倒は見てくれないんだね」
実は、娘がまだ幼い頃に、病気の娘を家に置いて仕事に出ていく時に言われたこの一言が、何年も胸に刺さったまま、罪悪感となっていました。後ろ髪を引かれ、涙ぐみながら出勤したといいます。それは立派な仕事の倫理観と使命感でもあります。でも、違う考え方が湧いてきました。
まゆみさんの決断:「お帰り」と言える母親になってもいい
学校から帰ってきた娘に「お帰り」、出かける時に「行ってらっしゃい」と言ってあげられる母親になってもいい——そう自分に許可を出せた時、まゆみさんの中で何かが変化し始めました。仕事を変えたり、辞めるという選択もあっていいんじゃないのか。
解決策:背中を押したのも、また娘だった
看護師を卒業すると家族に伝えた時、親は「何を言っているの」と心配した。それでも「これは私の人生」と言い切ったまゆみさんに、娘だけはこう言いました。「ママ、良かったじゃん。自分のやりたいように羽ばたけるね」。閉じ込めていた翼を広げる母を、娘は歓んでくれたのです。
あなたの人生の秩序「ライフマンダラ」で生きるために
走り続ける人ほど、立ち止まるのが怖い。けれどまゆみさんは、ほんの3分でも5分でも「ほっとする余白」を持つことから、"自分の本音や本質"に戻っていけるようになったと言います。
自分を鎖で縛っていた頃の自分が、今のまゆみさんを見たら——「やっと自分の人生を、自分でクリエイトし始めたね」と拍手を送るはず。そう語るまゆみさんは、「看護師」というアイデンティティをおろし、新しく歩み出した自分のアイデンティティをこう再定義しました。
「太陽のように、あまねく照らす存在」でありたいです。

あなたが今、誰かのために自分を後回しにしているとしたら。その優先順位の真ん中に、自分自身を、そっと置き直してみてください。そこから人生は、もう一度あなたのものになっていくのかもしれません。
人の人生は所有できない代わりに、あなたの人生はあなたが主導権を持つものです。私たちが唯一、この世に生を受けて、このいのちをまっとうするまでに一緒に居続ける存在は、自分です。でも、その自分を後回しにしがちな時があります。
まずは、あなた自身のいのちを歓ばせる生き方を。そうすれば、あなたから溢れる豊かさの分かち合いで、周囲の人も心豊かになっていきます。
※この体験はまゆみさん個人の体験に基づくものであり、感じ方や変化には個人差があります。
